みんなのためのの著作権教室

こんな時の著作権

②家庭で守る著作権

学習のポイント

私的使用であれば著作権者の許可なく著作物は利用できますが、注意すべきことがたくさんあります。

ケース1お気に入りの曲をスマートフォンに入れる

自分で購入したCDなどを、個人で楽しむためにスマートフォンなどの携帯音楽プレーヤーに録音する場合、著作権者の許可は必要ありません。

ケース2大好きなマンガをコピーして友達にあげる

コピー機を使わず自分で手描で写した場合でも、ほかの人が創作したマンガやそのキャラクターのコピーを他人にあげるのは著作権侵害にあたります。

ケース3友達が録画したテレビ番組を借りて観る

録画したDVDなどを友達に貸すのは、「私的使用目的のための複写」という範囲を越えてしまい、著作権侵害となります。

ケース4パソコンのソフトをコピーする

コンピュータ・プログラムは目に見えませんが、著作物であり、著作権が存在します。

ケース5偽ブランドを購入する

偽ブランドや違法コピーの商品を購入することで罰せられることはありませんが、作ったり売ったりすると罰せられます。 偽ブランドの購入はやめましょう。

ケース1 お気に入りの曲をスマートフォンに入れる

購入したCDから好きな音楽をコピーして、スマートフォンに保存。通学中に楽しんでいるチヨちゃんに、ケンちゃんが言いました。「CDからスマートフォンにコピーするのは著作権の侵害だよ」 そうなのでしょうか。

自分で楽しむだけなら、著作権の侵害にはなりません。しかしコピーした音楽をほかの人に売ったりすると著作権侵害になります。

音楽などの著作物をCD、DVDや携帯音楽プレーヤー、スマートフォンなどにコピーする場合は、原則として著作権や著作隣接権を持っている人たちの許可をもらわなければいけません。しかし、自分や家族だけで楽しむために著作物をコピーすることは自由にできます。

自分自身や家庭内で私的に楽しむためのコピーは「私的使用目的のための複製(コピー)」として認められています。

しかし、それはあくまで自分や家族だけで楽しむ場合に限って許されていることであり、著作権者に無断でCDやDVDなどに著作物をコピーして他人に売ることは許されません。

録音・録画用機器や記録メディアの価格には著作権者への補償金が含まれています。

ところで実はみなさんが使うデジタル方式の録音・録画用の機器や記録メディアには、あらかじめその購入価格に著作権者への補償金が含まれていることを知っていますか。
さまざまなデジタル方式の録音・録画機器が急速に広まるに従い、多くの人が音楽や映像を録音・録画して楽しむようになりましたが、そのことによって、本来なら著作権者が受けるべき利益が侵害されているのではないかと指摘され、日本では平成4年から著作権者に補償金が支払われるようになったのです。

ケース2 大好きなマンガをコピーして友達にあげる

マンガからお気に入りのキャラクターをカラーコピーしてシールにしたり、クリア下敷きに入れて持ち歩いているチヨちゃん。もっと多くの人にこのマンガの面白さを知ってもらいたくて、コピーをお友達にあげたいのですが。

自分で楽しむだけなら許されますが、マンガのコピーを友達にあげたり、売ったりするには、著作権者の許可が必要です。

マンガそのものは著作権で保護される著作物です。また、マンガの中のキャラクターも著作物ですから、マンガ全体をコピーすることはもちろん、そのマンガのキャラクターを著作権者の許可なしに勝手にコピーすることは許されません。コピー機を使わず、自分で手描きして写した場合でも同じです。

ただし、コピーする目的が自分や家族で楽しむだけであれば「私的使用目的のための複製」とみなされます。

マンガ家は、マンガを創作したりキャラクターをデザインするために、苦労を重ねています。許可なく勝手にコピーして商品として売る人がいると、そうした努力が報われないことになります。

ケース3 友達が録画したテレビ番組を借りて観る

チヨちゃんが見逃したテレビ番組を、運よくケンちゃんがDVD録画していました。
ケンちゃんはそのDVDをチヨちゃんに貸してあげてもよいでしょうか。

テレビ番組を録画してほかの人に貸すことは、著作権を侵害することになります。

ひとつの番組には、たとえば脚本家の著作権、BGM音楽の作曲家の著作権、出演者の著作隣接権などさまざまな権利が含まれています。

また、再放送されたり、DVDとして発売されたりといろいろな形で再利用されます。

そのようにして、利益を得て制作費をまかなうのですが、ダビングが出回ると、再放送するテレビ局もなくなるでしょうし、DVDも売れなくなってしまいます。

テレビ番組で充分な利益が得られなくなると、番組制作を続けることが難しくなります。

テレビ番組を録画しても、自分や家族だけで楽しむようにして、お友だちに貸したりするのはやめましょう。

ケース4 パソコンのソフトをコピーする

新しくパソコンを買ってもらったケンちゃん。チヨちゃんのもっているパソコンソフトをコピーして自分でも使おうと考えています。

コンピュータ・プログラムも著作権で保護されています。違法コピーはやめましょう。

コンピュータ・プログラムは目には見えませんが、それを作る人が苦労して考え、その考え方を表現して作成するものですから、著作権法で保護される著作物のひとつです。

コンピュータは、いってみれば機械の箱で、それ自体では動きません。それを動かすためにはプログラムというものが必要です。このプログラムはコンピュータという機械に対する命令の組み合わせです。

プログラムには、ウインドウズのようなOS(オペレーティングシステム)やワードプロセッサやゲームソフトのようなアプリケーション・ソフトといったものなどいろいろな種類のものがありますが、これらはすべて著作権法で保護されます。

また、みなさんの家にある冷蔵庫や洗濯機、あるいは自動車などにも、「マイクロプロセッサ」とよばれる小型のコンピュータが利用されていますが、このマイクロプロセッサの中にあるプログラムも同様です。

日本では、1985年(昭和60年)に行われた著作権法の一部改正により、コンピュータ・プログラムも著作権法で保護されることが決まりました。 また、国際的にも著作権法でプログラムを保護することが一般的です。

ケース5 偽ブランドを購入する

よく見るとどこか本物と違うニセモノのキャラクターを使った商品や、有名ブランドの違法コピー製品が話題になります。こうした商品を知らずに買うと法律違反になるのでしょうか。

違法コピー商品を作ったり、売ったりすると罰せられます。

最近は、海外で作られたCDやDVD、人気キャラクターを使った商品が日本にたくさん入ってきています。それらの商品の中には、著作権者の許可をもらわずにコピーしたCDやDVD、人気のある商品そっくりに作ったニセモノも含まれています。

こうしたコピー商品は、本物にくらべて品質の悪いものがほとんどで、その分、安い値段で売られています。特に、著作権者に無断で作って売られているCDやDVDなどは、「海賊版」と呼ばれていて、これは著作権侵害になり、法律違反として問題になっています。

著作権者に無断で作って売られている商品は著作権侵害のほかに、不正競争防止法に違反したり、商標権の侵害にあたる場合も多くあります。著作権侵害は犯罪ですから、罰則が適用されます。この罰則は、「懲役10年以下」または「1000万円以下の罰金」というものですが、著作権を侵害した人が個人ではなく会社などの場合の罰金は、「3億円以下」となります。

ニセモノ商品や海賊版は、作ったり売ったりする人は罰せられますが、それを買う人には罰則はありません。しかしそのような商品を買うことは、結果として違法な行為に協力することになります。

ニセモノばかりが売れて、本物の商品が売れなくなると、質のよいものが提供されなくなることにつながり、結局は自分たちが困ることになります。このことをよく考えないといけませんね。

このコーナーのまとめ

  • ほかの人が作った音楽や動画などは自分や家族だけで楽しむ場合に限りコピーが許されます。
  • マンガのコピーは、自分の手描きであってもほかの人にあげたり、売ったりするには著作権者の許可が必要です。
  • テレビ番組を録画したDVDを貸すことは著作権の侵害になります。
  • 目に見えないコンピュータ・プログラムにも著作権があるので、無断でコピーはできません。
  • 偽ブランド品を作ったり売ったりすると罪に問われます。

理解できたかチェックしよう

空欄にマウスのポインターをあてると、答えがわかります。

テレビ番組には、たとえば脚本家の著作権、BGM音楽の作曲家の著作権、出演者の(著作隣接)権などさまざまな権利が含まれています。

著作権者に無断で作って売られているCDやDVDなどは、(海賊)版と呼ばれていて、これは著作権侵害になり、それを作ったり売ったりした個人は、「懲役(10)年以下」または「(1000)万円以下の罰金」が科せられます。